先日、YouTubeに投稿した動画で次の通知が表示されました。
この動画には申し立てが行われたコンテンツが含まれています。現時点では動画に影響はありませんが、YouTube で収益化を開始すると、収益に影響する可能性があります。Empty in the Kindest Way Deep Night Drift 著作権 音声
動画生成はKling、音楽生成はSunoです。通知を見て「自分で生成したはずなのに?」と一瞬戸惑いましたが、調べてみるとこれは2025〜2026年にかけてAI音楽ユーザーの間で頻発している、典型的なContent IDのケースでした。
この記事では、実際に何が起きたのか、なぜマッチしたのか、そして自分がこれからどう対応していくのかを整理します。
申し立ての正体
通知に出ていた「Empty in the Kindest Way Deep Night Drift」は、次の楽曲を指します。
曲名:Empty in the Kindest Way
アーティスト:Deep Night Drift
作曲:Водеников Николай(Nikolay / Nikolai Vodenikov)
Publisher:Kedoo Ltd
Label:℗ 2026 Самбо
リリース:2026年4月頃
この曲はYouTubeの「Deep Night Drift – Topic」チャンネルに上がっており、Amazon MusicやYandex Musicなどでも配信されています。同じ作曲者名で「The Slow Blue of Letting Go」「Fading Through the Kind Dark」「Drifting Past All Thought」といった、詩的で似た雰囲気のアンビエント/スリープ系トラックが大量にリリースされているカタログの一つです。
つまり、すでに商業配信され、YouTube Content IDに登録されている音源のフィンガープリントと、自分のSuno生成音声がマッチした、というわけです。Kling側の映像は関係ありません。純粋に音楽部分の問題です。
なぜSunoの曲でヒットしたのか
主な理由は次の3点です。
音響類似性によるマッチ
Content IDは「完全コピーかどうか」を人間が判断するのではなく、音声のフィンガープリント(音響指紋)の類似度で自動判定します。Sunoは「deep night」「drift」「empty」「kindest」「ambient」「sleep」「calm」「letting go」といった似たプロンプトで、非常に近いメロディ構造・音色・空間処理の曲を生成しやすいです。特にアンビエント/Lo-fi/睡眠BGM系は繰り返し構造が多く、誤検出が起きやすいジャンルです。
「Deep Night Drift」側もAI生成の可能性が高い
タイトルの詩的な統一感、同一作曲者名での大量リリース、2026年という時期、スタイルから見て、Sunoや類似のAI音楽ツールで量産されたカタログである可能性が極めて高いです。先に配信してContent ID登録した側が「権利者」としてclaimできる状態になっています。
Content IDの仕様
Content IDは「その曲が人間が作ったものか」「著作権が本当に有効か」を厳密に審査するわけではありません。登録された参照ファイルとの類似度だけで動きます。AI同士の類似性でも普通にclaimが入ります。
同じ現象は日本でも報告されています。例えば「もふもふ睡眠BGM」系のチャンネル運営者が、全く同じ「Empty in the Kindest Way / Deep Night Drift」の申し立てを受け、Sunoで該当曲だけ作り直して差し替えて解決した事例があります。X上でも「似た曲を先に配信した人がclaimしてきた」「再生成で回避」「AI同士の類似性」といった報告が複数見られます。
影響と現実的な対応
現時点:動画の視聴・表示・削除には影響なし(通知の通り)。
収益化を開始した場合:該当音声部分の収益がclaim者側に流れる可能性、または動画全体がブロックされる可能性があります。
多くの人が取っている現実的な解決策は、該当曲をSunoで全く違うプロンプトで再生成して差し替えることです。異議申し立ては「完全オリジナルである証明」が弱く、却下されるケースも少なくありません。通知が出た時点で収益化前なら、焦って動画を削除する必要はなく、音声だけ差し替えれば十分です。
Sunoの有料プラン(Pro/Premier)では商業利用権が付与されますが、「他者が先に似た曲をContent ID登録していた場合」には防げない、というのが現状の限界です。AI音楽のContent ID周りは2025〜2026年にかけて特にトラブルが増えている領域だと実感しています。
これから自分が実施する内容
この一件をきっかけに、自分は次のルールで運用していくことにしました。
- 即時対応
該当曲を削除し、全く違うプロンプトで再生成して差し替えます。元のタイトルや近い言葉(Empty / Kindest / Deep Night / Drift / Letting Go など)は完全に避けます。
- 再生成時のプロンプト設計方針
「雰囲気は似せる(睡眠・アンビエント・落ち着いた夜)が、音の指紋を明確に変える」ことを目的にします。
元のタイトルや近い言葉を避ける
具体的な「テクスチャ」と「進化」を指定する
否定指示を入れる(no drums, no melody, no vocals, no percussion, beatless など)
BPMを50〜70前後のゆっくりしたものに設定
同じプロンプトで2〜4曲生成し、元の曲と聴き比べて一番違うものを採用
おすすめプロンプト例(そのままコピペ可)
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Instrumental ambient soundscape, no drums, no percussion, no vocals, no melody warm evolving analog pads, soft granular textures, distant soft wind, subtle field recordings of quiet night forest slowly shifting harmonics, gradually evolving over time, spacious and weightless deeply calming, meditative, for deep sleep and relaxation, 55 BPM |
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Deep drone ambient, pure sustained tones, slow harmonic shifts, organic resonance bowed glass and singing bowl textures, subtle ocean swell in the far distance no drums, no percussion, no melody, no vocals, beatless timeless and weightless, for deep night rest, 40-55 BPM |
さらに、階層的な設計思想も取り入れます。単一のジャンル指定ではなく「主ジャンル60%+副ジャンル25%+質感/場所/時代性15%」の構造で、定番パターンから意図的にずらします。BPMは定番値から2〜3ずらす、レア楽器やフィールドレコーディングを1つ入れる、といった細かい工夫も徹底します。
- 生成後の最低限の加工
プロンプトだけでは完璧に避けられない場合、DAWや無料ツールで次の処理を少し加えます。
全体を±2〜5%ピッチシフト
軽いEQ(低域を少し削る/高域を少し丸める)
ごく薄いリバーブやテープサチュレーションを追加
これだけでContent IDのヒット率がかなり下がります。
- 今後の運用ルール
1つのプロンプトで複数生成して比較選別する
収益化を本気で考える場合は、Content IDクリア済みの音源ライブラリも併用する
自分のSuno曲を先に配信業者経由でContent ID登録する選択肢も検討する
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💜 Hiroroのひとこと 特にもふもふ睡眠チャンネルは8時間動画の投稿と長くて制作投稿にも時間がかかるので、なるべく制作段階で対応するべく今回の記事に至ったので、音楽生成にも役立てていきたいです。 |
まとめ
AI生成音楽は便利ですが、「生成したから安全」とは限りません。Content IDは著作権の有効性ではなく、音響類似度で動くシステムです。特にアンビエントや睡眠BGMのような似やすいジャンルでは、先に似た曲を登録した人がclaimしてくる構造がすでに出来上がっています。
今回の経験を機に、自分はプロンプト設計を見直し、再発防止を徹底していきます。同じような通知が出て困っている人がいたら、参考になれば幸いです

