「ミュージックビデオ(MV)を作りたいけど、シーンごとに絵柄がバラバラになってしまう…」 「実写のようなリアルな動画を作りたいのに、どうしてもイラストっぽさが抜けない…」
動画生成AI(Runway, Luma, Pika, Klingなど)を使っていると、「画風(スタイル)」のコントロールに悩まされることがよくあります。
AIは放っておくと、その学習データの中で最も一般的な「平均的な画風(いわゆるAI塗り)」を出力しようとします。 しかし、クリエイターとして作品を作るなら、「これは私の作品だ!」と言えるような統一された世界観が必要です。
この記事では、AI動画の見た目をガラリと変え、あなたの意図通りの作風に固定するための「スタイル指定プロンプト」を体系的に解説します。
実写(フォトリアル)を極めたい人も、アニメやアート表現を追求したい人も、この教科書があればもう迷いません。あなたの脳内イメージを、そのままスクリーンに映し出しましょう!
第1章:なぜ「スタイル指定」が重要なのか?
プロンプト解説に入る前に、スタイルの重要性について少しお話しします。
「バラバラ」は視聴者を冷めさせる
例えば、3分間のMVを作るとします。
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1カット目:リアルな写真のような映像
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2カット目:アニメっぽい映像
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3カット目:油絵のような映像
これが意図的な演出なら良いのですが、無自覚に混ざってしまうと、視聴者は「なんか統一感がないな…」と違和感を覚え、作品の世界に没入できなくなります。
「固定」することでブランドになる
逆に、すべてのカットが「淡い水彩画風」で統一されていたらどうでしょう? それだけで「おしゃれな雰囲気の作品」として認識され、あなたの作家性(ブランド)が生まれます。
AI副業において、高単価な案件を獲得したり、ファンを増やしたりするために最も必要なのが、この「世界観の統一」なのです。
第2章:【実写派】リアルを極める「フォトリアル」プロンプト
まずは、まるでカメラで撮影したかのような、超リアルな映像を作るためのキーワードです。 「AIっぽさ」を消したい人は、これらを必ずプロンプトに入れてください。
1. 魔法の言葉「Raw footage(生データ)」
これは最強のキーワードです。「加工されていない、カメラで撮って出しの映像」という意味で、AI特有のツルツルした質感を消し、リアルな空気感を出してくれます。
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必須単語:
Raw footage,Realistic,Photorealistic
2. 解像度と画質を指定する
カメラのスペックを言葉で指定します。
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解像度:
4k,8k,High resolution -
ディテール:
Highly detailed,Sharp focus(ピントくっきり)
3. カメラの種類を指定する
使う機材を指定することで、映像の質感をコントロールします。
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映画風:
Shot on 35mm film(フィルムの粒子感が出る),Cinema camera -
一眼レフ風:
DSLR(デジタル一眼レフ),Depth of field(背景ボケを作る) -
スマホ風:
GoPro footage(広角で臨場感がある),Shot on iPhone(SNSっぽい日常感)
📝 実写系プロンプト例:
Raw footage of a busy Tokyo street in rain. Shot on 35mm film, photorealistic, 8k, cinematic lighting, depth of field. (雨の東京の通りの生映像。35mmフィルムで撮影、フォトリアル、8K、映画のような照明、被写界深度。)
第3章:【アニメ・アート派】絵画のような世界を作るプロンプト
次は、イラストや絵画のような表現です。ここには無限の可能性があります。 「どんなアニメか?」「どんな画材か?」を具体的に指定するのがコツです。
1. アニメ・イラストスタイル
単に「Anime」とするだけでは不十分です。年代や雰囲気を足しましょう。
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現代アニメ風:
Modern anime style,Makoto Shinkai style(※あくまで画風の指示として),Vibrant colors(鮮やかな色) -
レトロアニメ風:
90s anime style,Retro aesthetic,Cel shaded(セル画塗り) -
3Dアニメ風:
3D render,Pixar style(※画風指示),Unreal Engine 5(ゲームのような高画質CG)
2. アート・絵画スタイル
手描きのぬくもりを出したい時に使います。
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油絵:
Oil painting,Textured brush strokes(筆のタッチが見える) -
水彩画:
Watercolor,Soft edges,Pastel colors -
サイバーパンク:
Cyberpunk,Synthwave,Neon colors -
モノクロ・劇画:
Manga style,Black and white,Ink wash painting(水墨画)
📝 アニメ系プロンプト例:
A girl standing on a hill looking at clouds. Studio Ghibli style, watercolor background, hand drawn animation, vibrant green and blue. (丘の上に立ち雲を見上げる少女。ジブリ風、水彩画の背景、手描きアニメーション、鮮やかな緑と青。)
第4章:世界観を決定づける「照明(Lighting)」と「色(Color)」
スタイル指定において、画風と同じくらい重要なのが「光と色」です。 これらが統一されていると、多少絵柄が違っても「同じ作品」に見えます。
1. 照明(Lighting)でムードを作る
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エモい・感動的:
Golden hour(夕暮れ),Sunset lighting,Warm light -
ドラマチック・クール:
Cinematic lighting,Volumetric lighting(光の筋が見える),Moody(雰囲気のある暗さ) -
ホラー・不穏:
Low key lighting(暗い),Hard shadows(濃い影)
2. 色(Color)でテーマを決める
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サイバーパンク・未来:
Neon palette(ネオンカラー),Cyan and Magenta -
ノスタルジック・過去:
Sepia tone,Vintage color grading,Faded colors(色あせた) -
ファンタジー・夢:
Pastel palette,Dreamy colors
💡 さくらのワンポイント: 「Color grading(カラーグレーディング)」という単語を使うと、映画の編集で色味を整えたような、プロっぽい仕上がりになりますよ! 例:Cinematic color grading
第5章:スタイルを絶対に「崩さない」ためのテクニック
キーワードを知っていても、AIがそれを無視してしまうことがあります。 スタイルを強力に固定するための、プロンプト構成のコツを伝授します。
1. 「スタイル指定」はプロンプトの先頭に!
AIは、文章の前半にある言葉ほど重要視します。 画風を最優先したい場合は、被写体よりも先にスタイルを書くのが裏技です。
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通常の順序:
[被写体] -> [動き] -> [スタイル] -
スタイル重視の順序:
[スタイル] of [被写体]...-
例:
Oil painting of a cat...(猫の油絵…)
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2. 「Reference Image(参照画像)」を活用する
多くの動画生成AI(Runway Gen-3 Alpha, Lumaなど)には、プロンプトだけでなく画像をアップロードする機能があります。 ここに「理想の画風の画像」を入れ、プロンプトでもスタイルを指定すると、画像+言葉のダブル効果でスタイルが完璧に固定されます。
これを「Style Transfer(スタイル転送)」と呼びます。 まずGeminiなどで「理想の画風の一枚絵」を作り、それを参照画像として使い回すのが、MV制作などで統一感を出す最強の方法です。
第6章:【コピペOK】ジャンル別・世界観固定テンプレート
すぐに使える、鉄板のスタイル指定セットを用意しました。
パターンA:【SF映画風】超リアルな近未来
Plaintext
Raw footage of [被写体],
photorealistic, 8k, shot on cinema camera,
cyberpunk atmosphere, neon lighting, volumetric fog,
highly detailed, sharp focus.
パターンB:【チル・Lo-fi風】レトロなアニメ
Plaintext
90s retro anime style of [被写体],
lo-fi aesthetic, cel shaded,
warm sunset lighting, nostalgic atmosphere,
slightly grainy texture, vintage color palette.
パターンC:【ファンタジー風】美しい油絵
Plaintext
Oil painting of [被写体],
thick brush strokes, impasto texture,
fantasy world, magical atmosphere, glowing particles,
dreamy lighting, artistic style.
まとめ:あなたの「好き」を言葉にして、AIに伝えよう
動画生成AIは、単なる道具から「画材」へと進化しています。
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写実的なカメラになることもあれば
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アニメーターのペンになることもあり
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画家の筆になることもあります。
それを決めるのは、あなたが入力する**「スタイル指定プロンプト」**です。
「私はこの世界観が好き!」 その情熱を、Raw footage や Oil painting といった言葉に乗せてAIに伝えてください。 AIはきっと、あなたの想像を超える美しい映像で応えてくれるはずです。
さあ、今日はどんな世界の扉を開けますか? まずは一番好きな画風のテンプレートを選んで、試してみてくださいね🎨✨
✅ 次のステップ(Next Step)
今すぐ試せるアクションとして、以下の「エモいアニメ風プロンプト」をコピーして、動画生成AIに入力してみてください。
Plaintext
Modern anime style of a rainy city street at night, reflection on wet ground, vibrant neon lights, cinematic lighting, high quality.
(夜の雨の街並みの現代アニメ風、濡れた地面への反射、鮮やかなネオンライト、映画のような照明、高品質)
出来上がった動画を見て、「これ、あのアニメみたい!」と感動できたら、あなたはもう立派なスタイルマスターです。ぜひ楽しんでくださいね!

