はじめに:なぜAIの答えは「物足りない」のか?
あなたはもう、AI(Gemini)の基本的な使い方に慣れているはずです。でも、「AIの答えが当たり前すぎてもっと詳しい情報が欲しい」「話が急に飛んでいて理解しにくい」と感じたことはありませんか?
これは、AIの能力が低いわけではありません。私たちがAIに「深く考えて」とハッキリ伝えていないからです。
AIは、私たち人間のように「空気を読んで」深く考えることはしません。私たちがAIの「頭の中の回路」を設計してあげて、「プロの専門家のように、筋道を立てて考えてね」とお願いする必要があるのです。
この記事では、AIの答えを「浅い一般論」から「プロが考えたような深い提案」に変える、3つの簡単な質問のコツをお教えします。
第1章:【コツ1】AIに「最強の専門家」の役を演じさせる
AIに質問するとき、ただ「記事を書いて」と頼むのと、「経験豊富な専門家として考えて」と頼むのとでは、答えの質が大きく変わります。
1-1. 答えの質が変わる理由
AIは、あなたが指定した役柄(ペルソナ)になりきって答えます。
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「ライターとして」 → 一般的な知識で、普通に文章を書きます。
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「〇〇業界で10年働いたコンサルタントとして」 → その業界のプロしか知らない知識や、優先すべきことを考えて答えてくれます。
この「最強の専門家」の役柄を指定することで、AIが出す答えの「考える基準」が、最高のレベルに引き上げられます。
1-2. 役柄を「深く」指定するコツ
ただ「ライターとして」で終わらせず、以下の3つの情報を組み合わせて役柄を指定しましょう。
| 要素 | 記述内容 | 質問の例文 |
| ① 専門分野と経験 | どの業界で、何年働いたか | 「あなたは、お客様の会社のデジタル化を15年間手伝ってきた、ベテランのIT専門家です。」 |
| ② やるべきことの目的 | 何のためにその仕事をするのか | 「この仕事のゴールは、ムダをなくして、お金を最大限節約することです。」 |
| ③ 考える時のルール | 答えを出す時に一番大事にすべきこと | 「答えは、必ず最新のデータに基づいて、数字で説明できる提案だけにしてください。」 |
このように具体的な役柄を指定することで、AIは「プロならではの深い視点」を持った回答を出してくれます。
第2章:【コツ2】AIに「考えた道筋」を説明させる(CoT)
AIが出した答えが、「なぜそうなるのか」という理由(道筋)がなくて、急に結論が出てくることがありませんか?これは、AIが頭の中で「考える途中の手順」を省略しているせいです。
この問題を解決するのが、Chain of Thought (CoT)、日本語でいう「思考のつながり」を説明させる方法です。
2-1. CoTが答えの信頼性を高める理由
CoTは、「結論を出す前に、どういう理由でその結論になったのかを、一つずつ順番に説明しなさい」とAIに命令するテクニックです。
人間が難しい問題を解く時に「途中式」を書くのと同じです。この途中経過を説明させることで、以下の良いことが起こります。
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間違いの防止: AI自身が各手順で論理がおかしくないかをチェックするため、間違い(補足:ハルシネーション)が減ります。
補足(ハルシネーション): AIが、間違っている情報や、根拠のないデタラメな情報を、もっともらしく話してしまう現象のことです。
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確認が簡単: 私たちも、AIがどこで考え方を間違ったかを簡単に確認できます。
2-2. CoTを質問に入れるための簡単な言い方
AIに「考える道筋」を説明させるための質問の仕方は簡単です。
| 質問の例文 | 活用シーン |
| 「以下の手順にそって、一つずつ順番に考えてから、最後に結論を出してください。」 | 複雑な計算、何かを決めるとき、企画書を作るときなど。 |
| 「最初に、ターゲットが抱える問題を3つ書き出してください。次に、その問題への解決策を3つ提案し、最後に、実現できるかどうかを評価してください。」 | 課題解決のレポート、戦略を立てるときなど。 |
この方法を使うと、AIの答えは「結論だけ」ではなく、「プロが考えた深い理由と道筋」を含んだ、説得力のあるものに変わります。
第3章:【コツ3】答えの「形と中身」を厳しく決めてもらう
AIが深く考えてくれたとしても、出てきた答えが「長すぎる」「表になっていないから使いにくい」といった問題があれば、結局は手直しが必要です。
答えの「形」や「使う言葉」を厳しく決めておくことで、手直しの手間をなくし、答えをすぐに使えるようにします。
3-1. 形(フォーマット)を強制するコツ
AIが出す答えの形(補足:アウトプット形式)を決めましょう。表(テーブル)やリストを使うように指示します。
補足(アウトプット形式): AIに出してほしい「答えの形」のことです。例えば、「箇条書き形式」「表の形式」「メール文の形式」などです。
| 制御したい内容 | 質問の例文 |
| 表の形を強制 | 「答えは、必ず3つの列(項目、評価、理由)がある表の形で出してください。」 |
| 箇条書きの制限 | 「箇条書きは、必ず3点だけにしてください。それぞれの説明は、30文字以内に収めてください。」 |
| 文字数の制限 | 「各項目についての説明は、100文字以上200文字以下にしてください。」 |
3-2. 使う言葉や専門用語を厳しく決めるコツ
読者やクライアントに合わせた言葉遣いをAIに強制します。
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専門用語を使わせない: 「回答には、難しい専門用語を一切使わず、中学生でも理解できる簡単な言葉だけで説明してください。」
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話し方の指定: 「断定的な言い方(〜すべきだ)は使わず、提案するような優しい言い方(〜が考えられます)で統一してください。」
これにより、AIが作った文章を手動で修正する時間が大幅に減り、すぐに仕事に使えるようになります。
まとめ:AIを「上級専門家」として使いこなすために
Geminiの答えを深く、使いやすくするための3つのコツは、以下の通りです。
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【コツ1:役を演じさせる】:AIの考える基準を最高の専門家レベルに引き上げる。
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【コツ2:道筋を説明させる(CoT)】:考える順番を強制し、答えの論理的な深さと信頼性を高める。
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【コツ3:形と中身を決める】:答えの形や使う言葉を厳しく決め、すぐに使えるようにする。
これらのコツを使うことで、あなたはAIの「頭の中の設計者」となり、AIをただの道具ではなく、深く考えてくれる最高のパートナーとして使いこなせるようになるでしょう。

