はじめに
Gemini(4/15)、ChatGPT(4/16)と、AIツールの公式プロンプトガイドを読んできた私が、今回たどり着いたのがClaudeのガイドです。
正直に言います。3つのなかで、Anthropicのガイドが一番驚きました。
GeminiにはGemini Prompting Guide 101という101ページの公式資料があり、OpenAIにはHelp CenterとAcademyにプロンプトのベストプラクティスが整理されています。どちらも充実しています。
でも、Claudeのガイドを読んだとき、ほかの2つとはっきり違うと感じた点がひとつありました。「XMLタグ」という書き方です。
最初に見たとき「なにこれ?」と思いました。HTMLみたいなカギカッコがプロンプトの中に入っている。でも、なぜそう書くのかを理解した瞬間、「あ、Claudeってこういうふうに使うツールなんだ」と腑に落ちました。
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📌 シリーズ案内 【4/15】Gemini Prompting Guide 101を日本語で解説 【4/16】OpenAI公式が教えるChatGPTプロンプトの書き方 【今日】Anthropic公式が教えるClaudeプロンプトの書き方(本記事) ▶ 4/15の記事https://hiroro-ailab.com/gemini-prompting-guide-101-basic/ |
専門的な話は一切しません。「Claudeってどう使うの?」と思っていた人が、読み終わる頃にはすっきりするように書きました。
第1章 ClaudeはほかのAIと何が違うのか
Claudeとは
ClaudeはAnthropicというアメリカのAI企業が開発したAIです。「AIの安全性」を最も重視する企業として知られており、モデルの設計段階から「正直で、害を与えず、人の役に立つ」を最優先にしています。
2026年4月現在、Claude 4.xシリーズが最新で、3種類のモデルが提供されています。
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モデル名 |
特徴 |
向いている用途 |
|---|---|---|
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Claude Opus 4.6 |
最高性能・最も深く考える |
複雑な分析・長文・コーディング |
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Claude Sonnet 4.6 |
性能と速度のバランス型 |
日常的な執筆・調査・ブログ |
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Claude Haiku 4.5 |
高速・軽量・低コスト |
シンプルな要約・翻訳・分類 |
ChatGPT・Geminiと比べて何が違うのか
よく聞かれる疑問です。Anthropic公式の資料を踏まえながら、私の実感も交えて整理します。
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比較項目 |
ChatGPT / Gemini |
Claude |
|---|---|---|
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プロンプトの書き方 |
自然言語で書くだけでOK(タグ不要) |
XMLタグ構造が最も効果的(後述) |
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長文への強さ |
得意(GPT-5は128kトークン) |
特に強い(200kトークン対応) |
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コミュニケーションスタイル |
やや明るく積極的 |
直接的・事実ベース・簡潔 |
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安全性の重視度 |
OpenAI・Googleの基準に準拠 |
安全性研究に特化した設計 |
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公式プロンプトガイド |
Help Center / Academy |
claude.com/blog + docs(最も詳細) |
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💡 どれが「一番いいAI」なのか? これは「どの仕事に向いているか」で変わります。ChatGPTはアイデア出しや汎用的な会話が得意、GeminiはGoogleサービスとの連携が強み、ClaudeはLong document(長い文章)の読み込みと精密なプロンプト対応が特に優秀です。ブログ記事の執筆や、複雑な文書をAIに渡して分析させるような用途ではClaudeが光ります。 |
第2章 Anthropic公式が教える5つのコアテクニック
出典:claude.com/blog(Prompt engineering best practices・2025年11月公開)および platform.claude.com/docs(Prompting best practices・2026年3月更新)
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1 |
明確かつ直接的に書く(Be explicit and clear) |
Anthropic公式の言葉を借りると「AIが推測するよう期待するのではなく、直接何が欲しいかを伝えてください」。これはChatGPTと同じ原則ですが、Claudeには特有の「黄金ルール」があります。
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🔑 Anthropic公式の「黄金ルール」 「あなたのプロンプトを、タスクについて最低限のコンテキストしか持っていない同僚に見せて、その指示に従ってもらうとしたらどうなるかを想像してください。その同僚が混乱するなら、Claudeも同じように混乱します。」 (出典:platform.claude.com/docs) |
つまり「自分の同僚が読んで迷わずできる指示かどうか」が判断基準になります。
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❌ 曖昧なプロンプト |
✅ 明確なプロンプト |
|---|---|
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「分析ダッシュボードを作って」 |
「分析ダッシュボードを作ってください。できるだけ多くの関連機能とインタラクションを含めてください。基本的なものにとどまらず、フル機能の実装を作ってください」 |
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「ブログ記事を書いて」 |
「AIツール初心者向けに、NotebookLMの使い方を説明するブログ記事の書き出し(400字)を書いてください」 |
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2 |
コンテキスト(理由・背景)を提供する |
「何をしてほしいか」だけでなく「なぜそうしたいのか」を伝えると、Claudeはゴールをより深く理解して的を射た回答を返します。
Anthropic公式が示す具体例がわかりやすいです。
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❌ 禁止だけ伝える |
✅ 理由を添えて伝える |
|---|---|
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「箇条書きは絶対使わないで」 |
「箇条書きではなく、自然な段落形式で書いてください。流れるような文章の方が読みやすく会話的に感じられるからです。箇条書きはカジュアルな学習スタイルには堅すぎます」 |
「なぜダメなのか」を伝えることで、Claudeは関連する判断(フォーマット全般)についても正しく対応できるようになります。
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3 |
具体的に書く(Be specific) |
具体性とは、明確なガイドラインと要件で指示を構造化することです。「何を・どのくらい・誰向けに・どんな形式で」を具体的に書くほど、結果が向上します。
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指定できる項目 |
書き方の例 |
|---|---|
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文字数・長さ |
「400字以内で」「3段落で」「5項目で」 |
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対象読者・目的 |
「AI初心者向けに」「30代会社員が読む記事として」 |
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アウトプット形式 |
「表形式で」「箇条書きで」「FAQ形式で」 |
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制約・条件 |
「専門用語を使わずに」「ポジティブなトーンで」 |
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4 |
例を見せる(Use examples / Few-shot Prompting) |
例を見せることで、Claudeは「こういう感じで書いてほしい」というニュアンスを正確に理解します。これを「Few-shot Prompting」と呼びます。
Anthropic公式は「3〜5個の例が最も効果的」と示しています。例を `<example>` タグで囲む書き方が推奨されています(次の章で詳しく解説)。
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💡 例を使うと何が変わるか 例なし:Claudeは余計な説明を加えたり、フォーマットがばらついたりすることがある 例あり:最初から期待する形式・トーン・深さで返ってくる Pro Tip:まず1個の例(one-shot)から始めて、それでも物足りなければ例を増やしてみましょう。 |
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5 |
不確かなときは「わからない」と言っていいと伝える |
これはAnthropicが独自に強調しているテクニックです。「推測して答えを作るより、わからないと言ってよい」と明示することで、ハルシネーション(AIの作り話)を大幅に減らせます。
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このデータを分析してトレンドを見つけてください。 もしデータが不十分で結論を出せない場合は、 推測するのではなく「判断できない」と教えてください。 |
信頼性が重要な調査・数字を扱う記事・ファクトチェックが必要な場面で特に有効です。
第3章 Claudeが「特に得意」なXMLタグ構造プロンプト
ここが今日の記事の最大の「他との違い」です。
Anthropicの公式ドキュメントには「XMLタグはClaudeが複雑なプロンプトを正確に解析するのに特に効果的」と明記されています。XMLタグとは、`<instructions>` や `<context>` のような「山カッコでテキストを囲む書き方」です。
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🤔 XMLタグって何?難しくない? HTMLを知っている方は「あのタグみたいなもの」と思えばOKです。知らない方も大丈夫——ルールはたったひとつ「<タグ名>内容</タグ名>」で囲むだけです。例えば <context>私はブロガーです</context> と書けばOK。プログラミングの知識は一切不要です。 |
XMLタグを使う3つのメリット
- Claudeがプロンプトの「どこが何か」を正確に区別できる
- 指示・背景・例・入力データが混在しても誤解釈されない
- プロンプトが長くなっても構造を維持できる
基本テンプレート ①:シンプル3要素型(初心者向け)
まずはこの3つだけ覚えれば十分です。
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<instructions> ここに「何をしてほしいか」を書く </instructions> <context> ここに「背景・状況・理由」を書く </context> <output_format> ここに「どんな形式で出力してほしいか」を書く </output_format> |
基本テンプレート ②:例付き中級型(Few-shot対応)
例を添えることで、Claudeが「こういう感じで」という意図を正確につかめます。
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<instructions> ユーザーの質問をやさしい言葉で説明してください。 </instructions> <context> 読者はAI初心者の30〜40代です。専門用語はカッコ内で補足してください。 </context> <examples> <example> 質問: プロンプトって何? 回答: ChatGPTやClaudeに送る「質問や指示の文章」のことです(英語でprompt=きっかけという意味)。 </example> <example> 質問: LLMって何? 回答: 大量のテキストを学習した大規模なAIのことです(Large Language Model=大規模言語モデルの略)。 </example> </examples> <input> 質問: Few-shotって何? </input> |
実践テンプレート ③:H’SAI lab ブログ記事作成用
実際にHIROROさんがClaudeにブログ記事を書いてもらうときに使えるテンプレートです。
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<instructions> 以下の条件でブログ記事の本文(約5,000字)を書いてください。 </instructions> <context> ・ブログ名:H’SAI lab(不安を希望に変える) ・読者:AIツール初心者、副業に興味がある30〜40代の日本人 ・文体:やわらかく親しみやすい、でも専門的に見える ・構成:共感フック→わかりやすい解説→実践的なアドバイス→CTA ・注意:専門用語は必ず日本語で補足する </context> <examples> <example> 良い書き出し例:「ChatGPTに何度聞いても的外れな答えしか返ってこない…。 そんな経験、ありませんか?実は問題はプロンプトの書き方にあります。」 </example> </examples> <output_format> ・見出しはH2/H3を使って構成する ・各セクションは2〜3段落 ・最後にまとめとCTA(次の記事への誘導)を入れる </output_format> <input> テーマ:[ここに記事のテーマを書く] </input> |
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📝 使い方 <input> タグの中のテーマ部分だけを毎回書き換えれば、H’SAI labスタイルの記事が生成されます。一度このテンプレートを作ってしまえば、毎回「一から指示を書く」手間がなくなります。 |
第4章 Claude 4.6 の新機能「Adaptive Thinking」をかんたんに
Claude 4.6 から「Adaptive Thinking(適応的思考)」という機能が追加されました。難しい名前ですが、要するに「問題の複雑さに応じて、Claudeが自動的に考える深さを調整する機能」です。
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機能 |
Claude 4.5 まで |
Claude 4.6 から |
|---|---|---|
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思考の深さ |
一定(手動で設定が必要) |
問題の難易度に応じて自動調整 |
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簡単な質問 |
同じ深さで考えていた |
素早くシンプルに回答 |
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複雑な質問 |
追加設定が必要だった |
自動的に深く推論する |
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ユーザー側の対応 |
「深く考えて」と指示する |
同じく「じっくり考えて」が有効 |
claude.ai(ブラウザ・スマホアプリ)でも、以下のような言葉を添えることでより深い推論を引き出せます。
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この問題について、結論を急がず段階的に考えてから答えてください。 (または「じっくり考えて」「深く検討して」「think step by step」でも有効) |
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💡 Adaptive Thinking は、複雑な調査・複数ステップの推論・重要な意思決定サポートなど「考えることが重要な場面」で特に効果を発揮します。日常的な簡単な質問では普通に素早く答えてくれます。 |
第5章 Claudeを使うときに知っておきたい3つの注意点
注意点① 強すぎる命令は逆効果になることがある
Anthropic公式が明記している重要な注意点です。Claude 4.6 は以前のモデルより積極的に行動するため、「CRITICAL: MUST use…(絶対に…しろ)」のような過剰に強い命令は逆効果になる場合があります。
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❌ 過剰な命令(逆効果) |
✅ 適切な指示(推奨) |
|---|---|
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「CRITICAL: 必ず箇条書きで書くこと!!」 |
「箇条書き形式で書いてください」 |
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「絶対にMarkdownを使ってはいけない」 |
「Markdownではなく、流れるような散文で書いてください」 |
注意点② フォーマット指定は「するな」より「こうして」
「〜しないで」という否定形より、「〜で書いて」という肯定形の方が効果的です。Anthropic公式ガイドも同じことを推奨しています。
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理由:否定形では「なぜダメなのか」が伝わらないため、Claudeが関連する判断を誤ることがある。肯定形では「こういう状態を目指す」というゴールが明確になる。 |
注意点③ Claude.ai の無料プランの制限
claude.ai には無料プランがありますが、1日あたりのメッセージ数に制限があります。また無料プランでは主にClaude Sonnet 4.6(バランス型)が使われ、最高性能のOpus 4.6は有料のProプランが必要です。
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プラン |
主なモデル |
月額(目安) |
|---|---|---|
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無料 |
Claude Sonnet 4.6(制限あり) |
0円 |
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Pro |
Claude Opus 4.6 含む全モデル |
約3,000円/月 |
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Max |
Opus 4.6 高容量利用・優先処理 |
約15,000円/月〜 |
初心者はまず無料プランで試してみて、気に入ったらProへ進むのが安心です。ブログ執筆や調査程度の用途なら、無料でも十分に使えます。
第6章 3AIのプロンプトガイド 振り返り比較
Gemini・ChatGPT・Claude の3回にわたって公式ガイドを読んできました。最後に簡単に並べて比較します。
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比較項目 |
Gemini |
ChatGPT |
Claude |
|---|---|---|---|
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公式ガイドの形式 |
101ページの体系的PDF |
Help Center + Academy |
ブログ記事 + 開発者ドキュメント |
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プロンプトの基本構造 |
5要素(Output・Context等) |
3ステップ(タスク・コンテキスト・形式) |
5原則 + XMLタグ構造 |
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最大の特徴 |
マルチモーダル・Google連携 |
役割指定 + Custom Instructions |
XMLタグ + Few-shot + Adaptive Thinking |
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初心者への優しさ |
○(わかりやすい図解多め) |
◎(Academy が初心者向け) |
△(開発者向けが多い・本記事で補足) |
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H’SAI lab推奨用途 |
調査・Googleサービス連携 |
アイデア出し・汎用タスク |
ブログ執筆・長文分析・精密な指示 |
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💡 どれを使えばいいの? 「全部を使い分ける」が正解です。H’SAI labでも、Skyworkでリサーチ→Claudeで記事化→ChatGPTでアイデア補完、というフローを実際に使っています。 |
まとめ:プロンプトは「積み重ねると資産になる」
今日学んだことをまとめます。
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✅ Anthropic公式の5原則:明確に・理由を添えて・具体的に・例を見せて・不確かなら言っていいと伝える ✅ XMLタグが最大の特徴——<instructions><context><examples>の3タグから始めれば十分 ✅ 禁止より肯定形・命令の強さより自然な指示が効果的 ✅ Adaptive Thinking(Claude 4.6)——「じっくり考えて」で深い推論を引き出せる ✅ 無料プランでも十分使える——まず試して、必要になったら有料を検討 |
Gemini・ChatGPT・Claude、3つの公式ガイドを読んで共通して感じたことがあります。
「プロンプトは練習するほど上手くなる。そして上手くなったプロンプトは資産になる。」
一度うまくいったプロンプトは保存しておきましょう。特にXMLテンプレートは、一度作ってしまえば毎回使い回せます。H’SAI labでも、記事作成用テンプレートは少しずつ育てています。
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次回予告:Skywork プロンプトガイド&Mega-Prompt解説 次回は「Skywork General Agent の使い方」と「CARE/PTCFフレームワーク(Mega-Prompt)」を解説します。ChatGPT・Gemini・Claudeとは異なる「調査→ドキュメント自動生成」というSkyworkならではのプロンプト設計を紹介します。 H’SAI labの更新はX(@hiroro_ailab)でお知らせしています。フォローしてお待ちください! |

