はじめに
前回のYS-069では、Stable Audioに楽器名を伝えるだけでなく、構造や奏法まで書く工夫をしました。ところが、その反省を最初から反映したYS-070でも、思ったような音にはなりませんでした。
琴なのか三味線なのか分かりにくい弦の音、途中で混ざる打楽器のような音、雨のような音。今回は説明を追加し続けるのではなく、プロンプトを整理して、主役と背景の役割を絞り直しました。
この記事でわかること
- YS-070の初回生成で気になった音
- プロンプトを修正した3つのポイント
- 実践から得た気づきと、まだ断定できないこと
前回の工夫を入れても、別の問題が残った
YS-070「SILK BRIDGE — 絹の橋」は、YAMATO SOULSのEdo Night Sleepシリーズです。夜更けの橋をイメージした2時間のBGMで、三味線を主役にしています。
前回の制作では、和楽器の構造や奏法を具体的に伝える方向で修正しました。その経緯は、YS-069の制作記録にまとめています。
今回はその書き方を最初から使い、不要な音を避ける言葉も加えました。それでも、初回生成を聴いたときには次の点が気になりました。
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気になった箇所 |
聴いたときの印象 |
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弦楽器の音 |
琴だか三味線だか分からず、無造作に鳴っているように感じた |
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曲2の途中 |
不明な打楽器のような音が混ざった |
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曲3の途中 |
雨が降るような音が聞こえた |
これは制作時の私の感想です。実際に何の楽器や音源として生成されたのかを特定したものではありません。ただ、目指していた静かな三味線中心のBGMとは違って聞こえたので、修正することにしました。
ステップ1:説明を短くして、残す指示を選ぶ
最初に見直したのは、プロンプトの長さと内容です。楽器の構造・奏法・雰囲気をすべて詳しく書くのではなく、今回の曲で外したくない要素を残しました。
- 江戸の夜を感じる静かな睡眠用BGM
- 三味線が主役であること
- 琴は背景に控えめに置くこと
- 急な音量変化や不要な音を避けたいこと
例えば、修正版の曲2には、次の一文を入れています。
Solo shamisen as lead voice, plucked in slow softly rhythmic patterns evoking quiet footsteps.
「三味線を主役にして、静かな足音を思わせる、ゆっくり柔らかなリズムで弾く」という意図です。単に短くするのではなく、何を中心に聴かせたいかが読み取れる文を残しました。
ここで注意したいのは、今回の問題が文字数やトークン数の上限によって起きたと確認できたわけではないことです。トークンはAIが文章を処理するときの単位ですが、文字数と同じではありません。本記事では、上限超過が原因だったとは扱いません。
ステップ2:主役の三味線と背景の琴を分ける
次に、背景楽器の存在感を弱める方向で書き直しました。
修正メモでは「sparse background(まばらな背景)」に加えて、「barely noticeable, subordinate(ほとんど目立たず、主役を支える)」など、楽器同士の関係が伝わる表現を検討しています。
実際に保存した曲2の修正版には、次の文があります。
Sparse koto with occasional delicate notes in background, clearly subordinate.
「琴は背景で、ときどき繊細な音を鳴らし、明確に主役を支える役割にする」という指定です。
私が今回分けて考えたのは、音数と存在感でした。「まばらに鳴らす」と書いても、鳴った瞬間の音が目立てば、主役と競って聞こえます。そこで、音数だけでなく、三味線より控えめにしたいという役割も書きました。
曲3ではさらに、琴を「nearly absent(ほとんど存在しないほど控えめ)」とする方向で調整しています。3曲すべてに同じ説明を貼るのではなく、その曲の役割に合わせて変えました。
ステップ3:実際に聞こえた不要な音を指定する
最後に、試聴して気になった音を、次のプロンプトへ具体的に反映しました。
曲2の修正版には、次の指定を入れています。
No vocals, no synthesizers, no digital pads, no metallic sounds, no rain, no percussion.
歌声・シンセサイザー・電子的な持続音・金属音・雨・打楽器を避けたい、という意図です。ここでは独立した設定欄ではなく、本文に書き込んだ指示を示しています。
ただし、「no rain」と書けば必ず雨のような音が消えるとは限りません。生成結果を聴き、どの箇所に何が残ったかを確認する工程は必要でした。
また、今回の修正版には、橋の下の水音をイメージする記述も残っています。「雨は不要だが、静かな水辺の雰囲気は欲しい」という意図ですが、この区別が生成結果で守られるかも試聴で確認するポイントです。
修正後の結果と、今回言える範囲
制作ログには、修正版のプロンプトで3曲とも再生成・修正した記録が残っています。
一方で、今回の記事作成時には修正前後の音源を並べた聴き比べや、改善度合いの測定までは行っていません。そのため、「不要音が完全に消えた」「三味線の再現性が保証された」とまでは書けません。
今回の記録から共有できるのは、思った音にならなかったときに、どこを見直したかという手順です。
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修正したこと |
狙い |
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説明を整理して短くする |
曲で優先したい指示を絞る |
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主役と背景を明記する |
三味線と琴の役割を分ける |
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気になった音を具体的に指定する |
試聴結果を次の生成へ反映する |
今回の再生成では複数の条件を変えています。どの一文がどれだけ効いたかは、切り分けられていません。
公式の案内と、私の実践を分けて考える
Stability AIの公式プロンプトガイドでは、ジャンル、楽器、雰囲気、BPMなどを考えて音楽を指定する方法が紹介されています。また、2.5向けのガイドには、生成結果を評価して足りない要素を特定し、指示を調整する考え方が示されています。公式:Stable Audio 3のプロンプトガイド、公式:Stable Audio 2.5のプロンプトガイド
ただし、これらは「今回の文なら和楽器が正確に出る」「短いほどよい」と保証するものではありません。本文の修正例は、YS-070の制作条件で私が試した書き方です。
まとめ
YS-069では、楽器名だけでなく構造や奏法を書く工夫をしました。YS-070では、その説明を整理し、主役と背景の役割をよりはっきりさせる方向で修正しました。
今回の気づきは、説明を足すことだけが調整ではない、ということです。「何を主役にするか」「何を控えめにするか」「実際に何が気になったか」を整理すると、次に直す箇所が明確になりました。
同じ文章でも結果は変わり得るので、プロンプトと試聴メモをセットで残し、次の制作でも比較できるようにしていきます。

